今回は、"二郎系"について解説する。
定義の曖昧な部分や解釈の分かれる部分については、私自身の考察を加えての説明となることを了承いただきたい。
そもそも二郎とは
二郎 = ラーメン二郎
二郎"系"とは何かを語る前に、そもそも"二郎"(じろう)とは何かを語る必要があろう。
"二郎"とは、"ラーメン二郎"の通称である。
そしてラーメン二郎とは、東京都港区三田に本店を構えるラーメン店の屋号である。
ラーメン二郎三田本店の沿革
1968年、東京都目黒区に当初「ラーメン次郎」の名で開店したのが今の「ラーメン二郎」の発祥。創業者は山田 拓美。
1972年、三田四丁目に移転、ラーメン二郎として改名。
1996年、三田四丁目から現在の港区桜田通り沿いにラーメン二郎三田本店として移転。
ラーメン二郎の拡大
その後、三田本店で修行した弟子がのれん分けによって、ラーメン二郎の店舗を拡大していったのである。
ラーメン二郎の屋号を掲げることが出来るのは正式にのれん分けを受けた直系のみであるが、ラーメン二郎の派生店は直系以外にも多数存在する。
以下、Wikipedia「三田本店以外のラーメン二郎」を引用する。
直系 - 山田拓美の下、本店で修行した直接の弟子が営業時間中に責任者として厨房に立つ店。いわゆる暖簾分け。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E4%BA%8C%E9%83%8E#%E4%B8%89%E7%94%B0%E6%9C%AC%E5%BA%97%E4%BB%A5%E5%A4%96%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E4%BA%8C%E9%83%8E
亜流 - 弟子、孫弟子の派生店。
a. 直系で出店後、2003年の商標登録や孫弟子の派生や破門の為に店舗名称変更(赤羽 (初代) →富士丸、武蔵小杉→こじろう等)
b. 直系だが二郎の名を継がず自己流アレンジ加えて独立した店(いごっそう等)
c. 直系ではなく、孫弟子以降だが師匠を辿ると山田拓美にたどり着く店(ラーメン荘など)
インスパイア系 - 直系、亜流店での修行が無く、上記の店に似せて出店(ジローフードシステムおよびフューチャー・ファクトリーによりラーメン二郎の屋号で運営された各店舗(現在の「らーめん大」、ジャンクガレッジ等)
上記の通り、ラーメン二郎の派生には、のれん分けによる直系の他に亜流とインスパイア系が存在する。
直系、亜流、インスパイア系の順に本店とは遠縁となるわけだ。
亜流 ≒ インスパイア系
ただし、直系の定義は明確であるものの、亜流とインスパイア系の分類の定義には少し曖昧さが残る。正式なのれん分けを受けていないという点では、亜流とインスパイア系の間に違いはないからだ。
分類に定義には、少しでも修行をしたことがあるかどうかといった曖昧なものではなく、のれん分けのような明確な基準が必要であると私は考える。
二郎系とは
前置きが長くなったが、ここで本題の"二郎系"に話を戻そう。
ラーメン二郎の通称である"二郎"に、"系"という1字が付くことで、いったいどのような言葉に変容するのだろうか。
私の調べる限り、これまで"二郎系"という言葉には明確な定義はなく、またその解釈も複数に分かれる。
乱立する"二郎系"の解釈の主なものとして、
"二郎系"とは、
①直系のみを指す
②亜流とインスパイア系を合わせた物を指す
③直系と亜流、インスパイア系を合わせた物を指す
上記の3パターンに大別される。
二郎系≠直系
まずここで、①直系のみを指す、という解釈は外したい。
なぜなら、二郎系が直系のみを指すとした場合、"二郎系"="直系"ということになり、二郎系という言葉の存在意義はなくなってしまう。また、"二郎系"が直系のみを指すとした場合、これまで慣用的に使用されている"二郎系"の言葉の意味とは乖離があるように思われるためだ。
次に"系"という言葉に着目したい。
以下、小学館デジタル大辞泉より「系」を抜粋。
【系】
https://kotobank.jp/word/%E7%B3%BB-488044
2 名詞に付いて、一つのまとまりのある関係にあることを表す語。「理科系
に進む」「外資系の企業」「太陽系」「銀河系」「MKS単位系」
なるほど、"系"という言葉の意味は、1つのまとまりのある関係を指すということだ。直系という言葉を例にとってみても、直接のれん分けを受けたまとまり、ということで納得できる。
二郎系 = 二郎派生の一つのまとまり
では、"二郎系"となるとどうだろうか。
もう少し大きなまとまりとなり、ラーメン二郎派生店の一つのまとまり、すなわち直系と亜流、インスパイア系を合わせたまとまりと言えるのではないか。
ここで、亜流のみを含めるか、亜流およびインスパイア系まで含めるかという解釈の相違が発生するかもしれないが、前述した通り亜流とインスパイア系の間に明確な定義の違いがないことから、ここでは亜流とインスパイア系の両者を含めるべきと考える。
二郎系に直系は含まれるか
残る解釈としては、
②亜流とインスパイア系を合わせた物を指す
③直系と亜流、インスパイア系すべてを合わせた物を指す
上記2つとなるが、
両者の違いは、"二郎系"といった場合に、直系を含めるか含ないかという違いになる。
ここで、"系"という言葉の使用例として、以下、小学館デジタル大辞泉より「太陽系」を抜粋。
【太陽系】
https://www.weblio.jp/content/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E7%B3%BB
太陽、およびその引力によって太陽を中心に運行している天体の集団。
上記の通り、「〇〇系」といった場合には、その中心となる〇〇も含まれる。
二郎系の中心も含むということは、直系はもちろん、ラーメン二郎三田本店も含まれるということだ。
以上の考察から結論は出た。
結論
二郎系 = 三田本店 + 直系 + 亜流 + インスパイア系
"二郎系"とは、ラーメン二郎三田本店とその直系、および二郎の派生である亜流とインスパイア系を合わせた総称
と定義する。
また、二郎系は "二郎インスパイア系" と同義で使用されることもあるが、ここまでの論考から、ここでは二郎系と二郎インスパイア系は異なるものと解釈する。
二郎インスパイア系は、インスパイア系単体を示す言葉といえる。